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民団創立70年 各界からの提言

記事一覧 2016.10.04 11:00

【ソウル聯合ニュース】在日本大韓民国民団(民団)が創立70年を迎え、各界から提言が寄せられた。

 多くの専門家は70年間、韓国の発展に寄与してきた民団の功績をたたえた。また在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)とのあつれきの中で在日コリアンの権益保護のために先頭に立ってきた点も評価した。

 一方で次世代の育成をはじめとして、1980年代以降に渡日したニューカマーや日増しに勢力が弱まる朝鮮総連、北朝鮮脱出住民(脱北者)などを包容するためには改善の余地があるとの指摘もある。

 以下は民団に対する各界からの声

 ◇柳明桓(ユ・ミョンファン)元外交通商部長官

 民団と言えば、「国が苦しかった時に支援した団体」「韓国の産業化のための土台を作ったありがたい同胞」という思いがまず浮かぶ。特に1988年のソウル五輪の時は莫大な資金を集め、大会の成功に大きく寄与した。冷戦時代には総連と争い、体制を守る役割を果たし、在日コリアンの権益を拡大するためにも多くの努力を傾けた。 

 今は立場が変わった。総連は比較できないほど弱まり、委縮した状況にある。対決している構造として見ることもできない。民団は現在、名実共に在日コリアンを代表する機関としての地位を確立していかなければならない時期にある。1980年代以降に日本に渡っていった「ニューカマー」が非常に増えた。民団はニューカマーと密に交流して一つにまとまらなければならない。「オールドカマー」と呼ばれる民団がニューカマーを包み込み、融和していけば在日社会を代表する機関として生まれ変わるだろう。

 まだ在日韓国人への地方参政権の付与が実現していない。民団のネットワークを利用し、政治的な影響力を高めていけば実現できると思われる。高齢化が進む在日コリアンの福祉問題についても積極的に取り組んでほしい。

 ◇金星坤(キム・ソンゴン)共に民主党世界韓人民主会議首席副議長

 来年度の在外同胞財団の「同胞団体活性化事業」予算180億ウォン(約17億円)のうち、80億ウォンが民団への支援金だ。一部では他地域の在外同胞との公平性などを問題にしているが、歴史的な特殊性を考慮して予算削減より、民団の法人化、指導や監査などの補完策が講じられてきた。このように毎年ふくらむ「民団予算」への論議を払拭(ふっしょく)するためにも民団が未来に向けて変化しなければならない。厳しい時代に母国に行った献身に対する「補償」というレベルを超え、ニューカマーと共生・協力し、韓国語教育のための果敢な投資など、在日コリアンを代弁する団体としてさらに積極的な役割を果たしてほしい。

 ◇楊昶栄(ヤン・チャンヨン)セヌリ党在外国民委員長

 「韓国産業化の土台としての役割」「母国の先進化」など、民団の貢献は大きく、評価はとても高い。だが、時代が変わり、これに対応できず、民団と言えば「古くさい」という印象が浮かぶ。まず70年を迎えた時点で、時代に応える団体になってほしいという要請をしたい。また、同胞社会の先輩として先駆者的な役割をしなければなければならないと考える。創造的なマインドを持って改革してほしい。

 在日コリアン2世、3世のアイデンティティー確立を積極的に行わなければならない。民団の第1世代は次世代の養成をおろそかにしているという指摘がある。愛国的な情熱で祖国の経済発展に寄与したのだから、今後次世代を育てることに全力を傾けるべきだと考える。ニューカマーもすべて包容し、民団の範疇(はんちゅう)の中で乱れずに動けるようにしなければならない。それが在日コリアンを代表する機関になるための道だと考える。

 ◇李求弘(イ・グホン)僑胞問題研究所理事長

 民団は総連よりも一歩遅れて設立され、力が弱かった。それで韓国政府に「われわれを理解してほしい」と哀願することもした。1960年代には民団幹部が大使館に行き、大使に面談を申し込んでも会ってもらえなかった時期もある。また民団幹部の韓国政府訪問を不許可にしたこともある。すると民団はわれわれを信じなければ、われわれも政府を信じないという声明まで出した。すべて韓国が厳しい状況の時に起きたことだ。政府は「皆さんが頑張って、韓国を助けてほしい」と依頼した。すると民団に所属する在日は「われわれが犠牲になり、祖国がうまくいくならばしよう」「本国の産業発展がわれわれの愛国の道だ」として協力した。在日の支援がなければ、セマウル運動(韓国の農村改革運動)も成功しなかっただろう。

 韓国が豊かになり、民団が総連を圧倒した。しかし力が強くなっても民団系の在日は増えず、多くは日本に帰化をした。これは民団が行った最も間違ったことの一つだ。元々は民族、祖国を前提に日本に根をおろしたが、その子孫はそのようなアイデンティティーが希薄になり、ためらうことなく日本に同化していった。今からでも遅くない。政府の支援金80億ウォンは子孫のアイデンティティーを守れという意味で出されている。民団中央本部団長選挙は最も立ち後れている。いまだに直接選挙ではなく、代議員が団長を選ぶ。このような政治風土を一日も早くなくしてこそ発展することができる。また独島問題や旧日本軍による慰安婦問題に関し、日本の中でしっかり主張できるような団体になってほしい。韓国学校を増やし、韓国文化に対する教育の機会を与える場を用意してほしい。

 ◇キム・ヨングン在外同胞財団事業理事

 民団の新年会、次世代行事などに何度も参加した。日本の与党から野党まで多くの政治家が行事に参加するのを目にした。それくらい民団が政治力を発揮しているという証しだ。しかし行事に出席している政治家を韓国の外交に積極的に活用したかについては疑問だ。韓日関係が冷え込んだ時、民団が民間レベルで和解ムードを作るのにいかに多くの外交力を行使したのか分かりかねる。今後はニューカマーと力を合わせ、絡まった韓日関係を民団が解きほどいていってほしい。民団は長く受動的に動いていた団体だ。これからは韓国政府の顔色をみずに能動的、主体的に動いてほしい。

 ◇チェ・ヨンホ在外韓人学会会長

 ニューカマーが組織した在日韓国人連合会(韓人会)との和解を試みてほしい。一部では互いに交流はするが東京では相変らず接触せず、互いに関心を持たない。民団はオールドカマー、韓人会はニューカマーを代表する。民団から韓人会を見れば「非効率的」「非生産的」と見え、韓人会から民団を見ると「権威的」「民族的」となる。この壁をなくしてほしい。そのためには韓人会を包み込まなければならない。特に青年たちに関心を持ってほしい。現在の民団は次世代団員が多くない。韓人会を取り込めばこの問題も解決することができるはずだ。韓人会も民団を前面に押し立てて活動することが時期的に合致する。積極的な和解ムードを民団が先に作って欲しい。

 在日の権益保護のためにさらに頑張ってほしい。ヘイトスピーチ(憎悪表現)の問題は民団がうまく対応していると考える。しかしまだ在日の中で差別を受ける人が多い。民団が慎重かつ合理的に動き、民族的差別をなくすようにしてほしい。

 ◇イ・ジンヨン仁荷大国際関係研究所長

 在日同胞社会は大きく四つの集団に区分される。オールドカマーとニューカマー、民団と総連だ。これらの集団は同じ民族だが、非常に異なった特性を見せる。特に民団と総連はイデオロギーで対立しており、現在も冷戦状態にある。民団と総連は共に日本に居住しているにもかかわらず、民族共同体的な生活は送っていない。したがって今は民団が総連と民族的な和解と対話を試みる時期だろう。それによりグローバルネットワークを構成する。民団は日本のほかに米国、中国、欧州などに住む同胞とネットワークを構築し、世界の韓民族共同体を構築する上で先頭に立たなければならない。また多文化に対する理解を高め、他民族との交流と協力を強化しなければならない。

 次世代の在日にもう少し関心を持ってほしい。現在、在日社会は次世代を中心に動いている。ニューカマー、朝鮮族、脱北者など多様な構成員が登場している。全国に組織網を持つ民団が次世代に組織を徐々に委譲し、新しい要求と方向をまとめていかなければならないだろう。包容力ある組織に生まれ変わってこそ未来の在日社会の発展に寄与できる。

 ◇朴斗鎮(パク・ドゥジン)コリア国際研究所所長

 民団は在日の権益保護団体だ。韓国を支持して、民主主義を指向する。今後も在日の権益をよく守って代弁し、民主主義の理念を広く浸透させることを期待する。韓国の発展にもさらに協力すればよいと思う。

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