韓国大統領選まで5日 テレビ報道巡り攻防激化
【ソウル聯合ニュース】韓国大統領選(9日投開票)を5日後に控えた4日、2014年に南西部の珍島沖で沈没した旅客船セウォル号の引き揚げに関する疑惑報道を巡り、各陣営が激しい攻防を繰り広げた。
テレビ局のSBSは2日のニュース番組で、匿名の海洋水産部職員の発言を引用し、同部が部のポストや機構を増やそうと、セウォル号の引き揚げをわざと遅らせ、次期政権と取引しようとした可能性があると報道した。職員は「取引の相手」として進歩(革新)系最大野党「共に民主党」から出馬した文在寅(ムン・ジェイン)候補に言及した。
その後、SBSは報道本部長の名前で「選挙に影響を与えたり、特定候補をおとしめたりする意図はなかった」とする謝罪のコメントを出して報道を取り消したが、各候補の陣営はこのニュースを争点化し、自らに有利な構図を作ろうと懸命になっている。
洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補を擁立する保守系旧与党「自由韓国党」の鄭宇沢(チョン・ウテク)常任中央選挙対策委員長は同委の会議で、「全国民が胸を痛めているセウォル号の事件を文候補側が有利に利用するため故意に引き揚げを遅らせたことは、国民を欺くもの」と激しく非難。文氏側が「テレビ局を脅して記事を削除させ、謝罪させた」とし、「疑惑報道が事実と判明すれば、立候補を取り下げるべきだ」と主張した。同党は会議の直後、抗議のためSBSを訪れた。
また、安哲秀(アン・チョルス)候補を擁する中道系「国民の党」選挙対策委員会の孫今柱(ソン・グムジュ)報道官は会見で、「SBSが昨日、メインニュースで5分半という長い時間を割いてセウォル号引き揚げ遅延疑惑の報道について謝罪した。世論調査で1位を走る文候補のパワーは強いようだ」と述べた。その上で「マスコミの口を封じ、降参させるやり方に言葉を失う」と文氏側を批判した。
これに対し、文氏の選挙対策委員会で広報を担当する朴洸オン(パク・グァンオン)氏はラジオ番組で「報道が事実なら、誰が記事を取り下げて謝罪するだろうか」と述べ、ライバル陣営の主張は「われわれに対する冒涜(ぼうとく)であるだけでなく、該当のテレビ局に対する冒涜でもある」と強く反発した。文氏側は3日、SBSの報道を「偽ニュース」と規定し、強く抗議した。
公職選挙法の規定により、今月3日以降に実施される世論調査は結果の公表が禁じられており、各陣営は選挙情勢を数値で確認できない状況となっている。直近の複数の支持率調査では、他候補を引き離して首位を走る文氏を安氏と洪氏が接戦しつつ追う展開となった。
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