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文在寅政権の外交政策 米中日との連携重視=対北では融和模索

記事一覧 2017.05.10 20:05

【ソウル聯合ニュース】韓国で10日発足した文在寅(ムン・ジェイン)新政権は、北朝鮮核問題の解決をはじめ、米国、中国、日本、ロシアの4大国との新たな関係構築、南北関係改善という外交課題に直面している。

就任の宣誓をする文在寅大統領=10日、ソウル(聯合ニュース)

就任の宣誓をする文在寅大統領=10日、ソウル(聯合ニュース)

 文氏はこの日の大統領就任の宣誓で、朝鮮半島の平和構築に意気込みを示した。訪米や訪日、訪中にも意欲を示した上で、「条件が整えば平壌にも行く」と言明した。

 しかし、北朝鮮核問題をはじめ、慰安婦問題を巡る韓日合意、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備問題など周辺国を巡る課題は山積している。

 ◇北東アジアの協力体制構築目指す

 米中日ロとの関係を中心とする文政権の外交政策は、北朝鮮核問題を機に北東アジアの新冷戦構図を多国間協力体制に移行させることを目指す。選挙戦の公約では韓中日3カ国協力の強化と北朝鮮核問題を巡る6カ国協議の枠組み再建を通じ、多国間協力体制を構築することを掲げた。

 朝鮮半島や北東アジアを取り巻く「韓米日―中ロ朝」という新冷戦構図を解体し、歴史問題を巡る韓中日の対立を克服する上で、北朝鮮核問題での連携を突破口にするという構想だ。6カ国協議の再開により南北、米朝、日朝関係が改善されれば、それを足がかりに北東アジアでの多国間協力体制の構築を目指すというものだ。

 北東アジアの多国間協力という目標に向け北朝鮮核問題の解決を最優先課題に設定したことから、同問題解決のため外交努力を尽くす見通しだ。ただ、北朝鮮への制裁や圧力一辺倒だった前政権とは異なり、交渉の場を設ける努力を並行することが予想される。

 対米関係では、韓米関係を「外交の基軸」と規定し、韓米同盟と自由貿易協定(FTA)を基盤にした戦略的関係を維持する。自身が大統領秘書室長を務めた盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権では対米外交で「自主」「理念」という路線を打ち出したのとは異なり、「同盟」「実益」を強調する。ただ、対北朝鮮や韓米同盟を巡り米国に「言うべきことは言う」という関係の構築を目指すとみられる。

 THAADの韓国配備を巡り悪化した中国との関係では、経済・国防分野での高官対話、北朝鮮問題での連携強化、韓中FTAの履行強化などの公約からみてとれるように、経済と安全保障分野での包括的な関係強化を目指す。

 韓国経済の中国依存度が高い上、北朝鮮核問題や南北統一を巡り中国の果たす役割が大きいことから、中国重視の基調が読み取れる。このため韓米同盟と韓中協力という難しいかじ取りを迫られており、THAAD問題への対応から今後の文政権の方向性が明らかになるとみられる。

 対日関係では、北朝鮮問題や経済問題での戦略的協力強化と、慰安婦問題をはじめとする歴史問題への「原則的対応」という、前政権でも容易ではなかった内容が公約の柱となっている。慰安婦問題を巡る韓日合意に否定的な国内世論と、北朝鮮の脅威に対する韓米日の連携強化の必要性の双方を踏まえたものだ。慰安婦合意への対応が今後の対日外交の鍵となる見通しだ。

 ◇対北朝鮮で融和路線

 文氏は選挙戦で、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が推進した北朝鮮に融和的な太陽政策を継承する考えを一貫して示してきた。国際社会が北朝鮮への圧力で足並みをそろえることに同意する一方で、北朝鮮との対話に重きを置くことが予想される。

 人道支援や社会・文化交流から再開し、中断している経済協力事業の開城工業団地や金剛山観光事業の正常化も模索するとみられる。

 ただ、北朝鮮労働者の賃金や観光収入などが核・ミサイル開発に流用されないとの保障がない状況で事業再開を急げば、国際社会から批判を招く恐れもある。文氏も先月の討論会で北朝鮮の核放棄の手続き開始が両事業再開の前提条件だとの考えを示している。

 中長期的には南北経済統合(単一市場)を経て漸進的に統一を推進するビジョンを掲げる。

 ただ、北朝鮮核問題で進展がなければ南北関係の実質的変化を期待するのは難しいことから、政治・軍事会談も推進するとみられる。それでも目立った成果がなければ、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談に乗り出す可能性もある。文氏は大統領就任の宣誓でも「条件が整えば平壌に行く」と言明した。「条件」が何を指すのかについて具体的な言及はなかったが、北朝鮮核問題の進展を念頭に置いた発言とみられる。

ikasumi@yna.co.kr

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