文大統領が慰安婦問題で安倍氏に“直球” 専門家の評価まちまち
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は11日に行った安倍晋三首相との初の電話会談で、旧日本軍の慰安婦問題を巡る2015年末の両国合意について韓国内で批判的な世論があることを明確に伝えた。
会談で安倍首相が慰安婦合意の着実な履行への期待を表明すると、文大統領は「国民の大多数が情緒的に慰安婦合意を受け入れていないのが現実」とした上で「民間で起きた問題を政府が解決することには限界があり、時間が必要だ」と指摘。「国民の情緒と現実を認めながら、双方が共に努力することを望む」と述べた。
文大統領の発言は、ソウル・日本大使館前の慰安婦被害者を象徴する少女像の移転問題について、合意で「適切に解決されるよう努力する」とあることを念頭に置いたものと受け止められる。
また主語が「国民」ではあるものの、合意について「受け入れていない」という強い表現を用いたことに注目が集まっている。韓国の外交当局は15年末以降、合意の順守と誠実な履行を強調してきた。
就任後、初めての電話会談での発言であるため、慰安婦合意に対する文大統領の確固たる立場を示したとの分析も出ている。
文大統領は大統領選で、合意について再交渉し、被害者が認め、国民が同意できるレベルの合意を導き出すと公約するなど、再交渉の必要性を数回にわたり主張してきた。そのため就任後、どのような形であれ慰安婦合意の再交渉を持ち出すと見られていたものの、初の電話会談での発言は予想より早く、強いものだったと多くの外交関係者は考えている。
ただ文大統領の今回の発言が、合意の再交渉や破棄を目指すものなのか、国内の強硬な世論のため慰安婦合意や少女像の移転を受け入れることが難しい新政権の難しい立場を強調するためのものなのかについては不明だ。被害者が心の傷を癒やすことのできる感性に訴える措置を日本に取らせるための戦略の一環である可能性もある。実際、今回の会談では再交渉に直接言及しなかった。
韓東大の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授(国際関係学)は「両国首脳による初めての電話会談としては非常に攻撃的で強く話したと考える」とし、「慰安婦合意の履行や少女像の移転を要求しようとする日本としては非常に当惑したと思われる」と評した。
その上で「ただ、序盤から性急に多くのカードを出したとも言える」とし、「大統領は日本の歴史問題への反省と実用的な協力を個別に推進すると公約しているため、長期的な観点で問題を解決していくことが望ましい」と提言した。
国民大の李元徳(イ・ウォンドク)教授(日本政治学)は「高官が妄言を発し、感性に訴える措置に無関心な様子を見せるなど、日本の努力不足により韓国内に慰安婦合意に対する批判的な世論があるという点を明確に示し、同時に今後の両国の立場の接点を探し、合意を発展させていこうとの思いを込めた意味のある対話だったと考える」と評価した。
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