北朝鮮の相次ぐ挑発 国際社会はなすすべなし
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮は米国がレッドライン(越えてはならない一線)と見なす核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験には踏み切っていないものの、中距離、短距離の弾道ミサイル発射を繰り返している。国際社会はこれを挑発と見なすが、有効な手立てを見いだせずにいる。
北朝鮮は29日早朝、南東部の江原道・元山付近からスカッド系と推定される短距離弾道ミサイルを発射した。ミサイルの発射実験は今年9回目で、韓国で今月、文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足してからは3回目となる。
トランプ米大統領を含む主要7カ国(G7)はイタリアで首脳会議(サミット)を開き、27日(現地時間)の共同声明を通じ北朝鮮への制裁強化の用意があると警告したが、北朝鮮は警告をあざ笑うかのようにミサイル発射で応じた。
国連安全保障理事会も北朝鮮の21日の「北極星2」発射実験を受け、北朝鮮への制裁強化を盛り込んだ新たな決議採択について話し合った。しかし、米国・英国・フランスと中国・ロシア間の溝は埋まらず、結果を出せなかった。
対話再開の最低条件として挑発の中断を求める韓国や米国などに対し、北朝鮮は挑発をやめる意向はないことを改めて示しているといえる。北朝鮮が挑発中断の要求を受け入れるよう制裁を強化するか、または挑発中断と関係なく、ひとまず状況悪化を防ぐために北朝鮮との対話を模索するか、国際社会が決断を迫られる時期が近づいているとの見方もある。
また、米国が北朝鮮核問題の解決に向けた推進力を喪失しかねないと懸念する声も上がっている。トランプ氏は就任後、北朝鮮の核問題を最優先の安全保障課題とし、先月の米中首脳会談では中国に北朝鮮への影響力行使を強く働きかけた。ところが現在、米国ではトランプ氏の娘婿らが絡むロシア疑惑が深まっている。対外問題に取り組む余力がなければ、厳しい交渉が求められる完全な非核化の代わりに、核開発の凍結で満足する可能性があるとされる。
北朝鮮は韓国と日本を攻撃できるミサイル技術をすでに保有しているが、米本土を核兵器で叩くICBM開発にはさらに数年を要すると予想される。核兵器開発とミサイル発射を一時中断させるだけでも米国の安全保障の側面では意味のある成果として受け止められる状況となっている。
韓国の専門家らは、米国が北朝鮮非核化の推進力を維持する上で韓国政府の役割が重要だと口をそろえる。まずは来月の韓米首脳会談で北朝鮮の完全な非核化という目標を両国の大統領が確認し、核弾頭を搭載した北朝鮮ミサイルの脅威にさらされる韓国と日本がが歩調を合わせ、米国が核開発の凍結で満足しないよう働きかけるべきだと指摘している。
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