THAAD発射台追加搬入の未報告が波紋 軍人事に影響か
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は30日、米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の発射台が南部・慶尚北道星州郡内の用地に設置された2基とは別に4基が非公開で韓国に運び込まれていた問題について、経緯など真相を徹底的に調査するよう青瓦台(大統領府)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長とチョ国(チョ・グク)民政首席秘書官に指示した。
文政権で事実上の政権引き継ぎ委員会の役割を果たす「国政企画諮問委員会」への業務報告で国防部が発射台の追加搬入について報告しなかったことが波紋を呼んでいる。
文大統領は国防部の韓民求(ハン・ミング)長官に電話をかけ、発射台4基が既に韓国内に運び込まれた事実を直接確認した。「非常に衝撃的だ」と述べたという。
国政企画諮問委側は25日に行われた国防部による業務報告で、3月6日に発射台2基を搬入し、4月26日に配備用地に設置したとの報告はあったが、発射台4基の追加搬入については報告がなかったとしている。
国防部が4基の追加搬入について、搬入当時に報告していないのは事実とみられる。公式業務報告文書にも記録が残っておらず、国防部も国政企画諮問委への業務報告で関連報告をしなかったことを認めている。
文大統領が経緯の真相を調査するよう命じたのは、国防部が国政企画諮問委に重要な懸案である発射台の追加搬入について報告しなかったことを問題にしたものと受け止められる。
一方で、同問題の報告を巡り、国防部と青瓦台国家安保室が食い違いをみせている。
国防部は国政企画諮問委への業務報告の翌日に鄭室長に主な国防上の懸案を報告し、発射台の追加搬入についても説明したと主張している。
しかし、青瓦台関係者は、「26日に国防部の政策室長が国家安保室の鄭室長、第1次長、第2次長に(別の)報告はしたが、追加搬入に関する報告はなかった」と話している。
同問題の調査を文大統領が指示したことで、国防部は混乱に近い状態に陥っているもようだ。米国の最新鋭の兵器であるTHAADは配備の過程がほとんど非公開で進められ、国防部内でもごく少数だけが進行状況を把握していたとされる。
国防部は国政企画諮問委への業務報告で、THAAD配備についてどのように報告したのかまだ具体的な説明をしていない。業務報告の内容を徹底的に非公開にするよう要求した国政企画諮問委側の指示があったため、報告内容を公開していない。
ただ、国政企画諮問委側は業務報告の際、THAAD装備の設置に関する報告がなかったと説明している。
これについて国政企画諮問委の外交・安保分科委員会で委員長を務めるイ・スフン氏は30日、聯合ニュースの取材に応じ、具体的にどのような装備が搬入されているのか国防部の報告にはなかったと説明した。
イ氏の発言が事実であれば、国防部が意図的に報告しなかった可能性が高い。国防部の業務報告ではTHAAD配備が最も重要な懸案になると見られていた。
一方で、業務報告の際に国政企画諮問委側が未報告を指摘しなかった理由も不透明だ。
一部では直前の朴槿恵(パク・クネ)政権で国家安保室長を務めていた金寛鎮(キム・グァンジン)氏に対し、何らかの形で責任を問うとの見方も出ている。
発射台4基の追加搬入の未報告により起きた波紋は、新たな国防部長官の任命後に行われる隊長級の人事など、軍首脳部の人事に大きな影響を及ぼすものとみられる。
yugiri@yna.co.kr