[芸能]上半期の映画観客数 初の1億人突破へ=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国の今年上半期の映画観客数が史上初めて1億人を突破する見通しだ。
一方で、韓国映画は興行ランキングの1、2位を占めたが、シェアでは4年連続で外国映画に押された。
韓国映画のうち、損益分岐点を超えた映画は9作品にとどまった。特に製作費が20億ウォン(1億9500万円)~40億ウォン台の中規模映画は、ほとんどが興行成績が振るわなかった。
大統領選など政治的状況と相まってドキュメンタリー、コメディー映画が人気を集めたことも上半期の特徴だ。
◇上半期の映画観客数 史上初の1億人超えか
韓国映画振興委員会の映画館入場券統合電算網によると、今年1月1日から今月5日までの総観客数は8542万人と集計された。
これは昨年同期間より415万人(5%)増加した数値だ。この4年間の6月の平均観客数が1570万人であることから、今月末までの総観客数は1億人を超えるものとみられる。
これまでの上半期の歴代最多観客数は2013年の9850万人だった。
映画市場の分析を行うキム・ヒョンホ氏は「大統領の弾劾と大統領選が続いた緊迫した現実の政治状況の中で、観客が一息つける空間として映画館を活用したようだ」と分析した。
日本のアニメーション映画「君の名は。」とハリウッド映画「美女と野獣」などメロドラマ・ロマンス映画が善戦し、通常はオフシーズンの3月の市場をけん引したのも一つの要因だ。
上半期最高の人気作は782万人を動員した韓国映画「共助」(原題)だった。532万人を集めた「ザ・キング」(原題)が2位を記録し、「美女と野獣」(514万人)、「ワイルド・スピード ICE BREAK」(365万人)、「君の名は。」(362万人)が3~5位を占めた。
観客数200万人を超えた映画は計16作品と集計された。
観客数シェアは韓国映画が44.1%、外国映画は55.9%を記録し、14年から4年連続で外国映画が過半数のシェアを占めた。韓国の映画館では「上半期は外国映画、下半期は韓国映画が好調」という図式が数年間続いている。
◇損益分岐点を超えた韓国映画は9作品のみ
映画館の観客数は増えたが、韓国映画全体の成績は芳しくない。
韓国映画の興行ランキング上位30位に入った作品のうち、損益分岐点を超えた映画は9作品にとどまった。
それぞれ100億ウォン、135億ウォンの製作費が投入された「共助」と「ザ・キング」、80億ウォンをかけた「ザ・プリズン」(以下原題、293万人)、75億ウォンを投じた「保安官」(258万人)は損益分岐点を超えた。
実際の殺人事件をモチーフにした「再審」(242万人)と故盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領のドキュメンタリー映画「盧武鉉です」(126万人)、昨年12月に公開され、今年まで上映が続いた「マスター」(715万人)、テレビドラマと合わせて製作された、慰安婦をテーマとした映画「雪道」(13万人)も制作費を回収した。
しかし、100億ウォン台が投じられた「操作された都市」(251万人)とそれぞれ90億ウォンが投入された「王様の事件手帳」(163万人)、「特別市民」(136万人)は損益分岐点の壁を超えられなかった。
◇「中規模」映画は軒並み苦戦
上半期にはさまざまなジャンルと素材の作品が公開されたが、大きな反応を得られなかった。
父娘間で体が入れ替わるという設定のコメディー映画「パパは娘」(64万人)、ミステリースリラー「時間の上の家」(13万人)、1987年6月の民主抗争のきっかけとなった大学生・朴鍾哲(パク・ジョンチョル)さんの拷問死を扱った「普通の人」(38万人)、米国の小説「歯と爪」を原作とした「石造邸宅殺人事件」(35万人)などは比較的好評だったが、興行成績にはつながらなかった。
「自覚夢」を素材とした映画「ルシッド・ドリーム」(10万人)、新手の金融詐欺を扱った「ワンライン」(43万人)、俳優のキム・ナムギル主演の「ある日」(23万人)、俳優のイ・ビョンホン主演の「シングルライダー」(35万人)なども同様だった。
これらの作品は製作費が20億~40億ウォン台の中規模の映画だ。
映画会社の関係者は「1週間に封切られる映画がほぼ飽和状態な上、観客は見どころの多いブロックバスターやアート系映画でなければ関心を持たず、中規模の映画は興行が難しい」と説明した。
他の関係者は「小さな映画は封切り後間もなくIPTV(インターネット・プロトコル・テレビ)などで見ることができるため、わざわざ映画館でお金を出して見ようとしない傾向がある」と分析した。
◇大統領選の影響でドキュメンタリー善戦
ドキュメンタリー映画「盧武鉉です」は封切りから10日で観客数100万人を突破した。韓国で公開されたドキュメンタリー映画の中で最短期間での100万人突破記録だ。製作費6億ウォンの同作は、盧氏が2002年の大統領選を前に行われた党の予備選挙に出馬し、支持率2%から党の候補の座を射止めるまでの逆転劇と奇跡を描いた作品だ。映画自体がドラマ性を持っている上、現在の政治的状況なども興行を後押ししたとみられる。
今年4月にオンラインで無料公開した後で劇場公開された「ザ・プラン」は、12年の前回大統領選後に提起された不正開票疑惑を扱ったドキュメンタリーだ。
先立って昨年10月に公開された「自白」(14万人)と「武鉉、2都市の物語」(19万人)のドキュメンタリー2作品も好評を得た。
上半期には政治映画よりもコメディー映画が好調だったのも特徴だ。今年1月公開の「共助」と「ザ・キング」の対決では「共助」が、5月のゴールデンウイークの「王様の事件手帳」と「特別市民」の対決では「王様の事件手帳」が多くの観客を集めた。
ynhrm@yna.co.kr