近づく初の韓米首脳会談 焦点の北朝鮮核問題で「温度差」
【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が今週訪米し、29~30日にトランプ米大統領と初の首脳会談を行う。北朝鮮核問題や米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備を巡る問題が最大の焦点になる。
両首脳はいずれも就任して間もないため、友好を深めて韓米同盟の強化を確認するだけでも会談は成功したと言えるが、両国が抱える難題に対する解決策を共有することもまた重要な課題となる。
最も重要な課題は北朝鮮の核問題となる見通しだ。
両首脳は北朝鮮の核廃棄という最終目標と、これに向けた制裁・圧力や対話などあらゆる手段を用いることでは大枠で一致しているものの、そのためのプロセスでは微妙な温度差を見せている。
文大統領はミサイル実験など北朝鮮が挑発を行う度に強力な制裁が必要と訴えながらも、対話の必要性を強調する「ツートラック」戦略を維持している。しかし、トランプ大統領の対北朝鮮政策は対話の可能性に言及しながらも、制裁を強調している。とりわけ、文大統領は核の凍結から完全な廃棄へと進むことを骨子とする北朝鮮の核放棄を主張し、その中で対話と補償を行う案を提示しているが、トランプ大統領は「非核化後に対話」の基調を維持しており、双方が隔たりをどう埋めていくか注目される。
両首脳が北朝鮮の非核化という同じ目標を掲げながらも、方法論で隔たりがあるため、共通認識を最大限広げることが会談の重要なポイントになりそうだ。
ただ、北朝鮮当局に拘束された後、今月に昏睡(こんすい)状態で解放された米国人大学生、オットー・ワームビア氏が死亡したことで、米国内では北朝鮮に対する風当たりが強まっている。大学生の死亡は今回の首脳会談にも少なくない影響を与えるとみられる。
THAAD問題も首脳会談の議題になる見通しだ。
THAADの在韓米軍配備は北朝鮮の核問題に対する具体的な手段の一つにすぎないが、中国も絡む韓米中の外交問題に飛び火した上、韓国国内でも配備反対の声が高まっており、いかなる形であれ、韓米首脳間でこの問題が話し合われるとみられる。
THAAD配備については文政権が適正な環境影響評価を行うことを決め、長ければ1年以上運用が遅れると予想されている。中国はTHAADの高性能レーダーが自国の監視に利用されることなど、「戦略的利益」を理由に配備に強く反対。韓国に対し「報復」とみられるさまざまな規制措置を取っており、韓国国内では配備に反対する声も根強い。
文大統領は先ごろ、海外メディアとの相次ぐインタビューで、THAADの韓国配備は韓米両国政府によって決まったことで、「決して軽く受け止めていない」と発言し、合意を一方的に変える考えはないことを示唆した。環境影響評価など国内の手続きを経るが、事実上配備を進めるとの姿勢を示しただけに、トランプ大統領もこれを受け入れる可能性が高い。
これらの問題のほか、米国で再交渉の機運が高まりつつある韓米自由貿易協定(FTA)に対する議論も行われるとみられる。