[インタビュー]映画「オクジャ」のポン・ジュノ監督
【ソウル聯合ニュース】韓国のポン・ジュノ監督の新作「オクジャ(Okja)」(原題)が29日(日本時間)から韓国で劇場公開され、米動画配信大手のネットフリックスを通じて全世界に同時配信される。
「オクジャ」は韓国北東部・江原道の田舎で家族の一員のように育てられた巨大な動物のオクジャと少女ミジャの友情と愛、冒険を描いた作品。ネットフリックスが約600億ウォン(約59億円)の製作費を投じた。
同作は第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも出品された。しかし、韓国以外の国ではネットフリックスを通じて動画配信されるため、劇場で見られない映画がコンペ部門に進出したことなどを巡り議論を呼んだ。韓国内でもシネマコンプレックス(複合映画館)のCGV、ロッテシネマ、メガボックスがネットフリックスの同時配信に反発し、上映を拒否した。
ポン監督は27日、インタビューに応じ、「オクジャ」について語った。
以下は一問一答。
――デビュー以来、今回のような小規模公開は初めてではないか。
「『オクジャ』は、団成社(ソウルにあった映画館)だけで観客100万人を動員した『風の丘を越えて/西便制』(1993年)のように公開するものだと思う。ネットフリックスの映画としてはスクリーン数が最も多いということに満足している」
――作品内容以外の面で議論が起き心労も大きかったと思われるが。
「1カ月半の間に約100件のインタビューを行った。作品のストーリーではなく、配給や技術的な部分などについて話したことはむしろ良い面もあった。話題として多く取り上げられたが、ストーリーが漏れる心配は減った」
――ネットフリックスを選択した最大の理由として創作の自由を挙げたが。
「『オクジャ』は予算の規模がアジアや欧州の企業が負担できないレベルだったので米企業を選ぶしかない状況だった。米企業は監督に全権を与えないことで有名だが、ネットフリックスは全権を与えてくれた。劇場公開に対する残念な気持ちも生じると予想はしたが、映画を撮らなければならなかったので良し悪しはともかく、(ネットフリックスを選択することは)作品を完成させることができる唯一の方法だった。話題を集めよう、議論を巻き起こそうというような意図はなかった」
――自分が見たい映画を撮ると言い続けてきたが、「オクジャ」はどういう点で見たい映画なのか
「動物に関する物語を撮りたかった。動物は友達や家族であり、食べ物でもある。家でペット犬と幸せな時間をすごしながら、サムギョプサル(豚バラの焼肉)を食べたりする。この二つの要素は便宜上、分離しているが、『オクジャ』ではそうでない。動物を人間の基準で分けているが実際は一つの存在だということを面白おかしい騒動のように見せたかった」
――最近は大規模な予算の映画を撮り続けたが小規模な映画を撮りたいという思いはないのか。
「二つのプロジェクトを準備中で、いずれも小規模だ。ソン・ガンホ主演の『寄生虫』(原題)は『母なる証明』と同じ規模の作品だ。投資家、製作者、スタッフ、俳優は韓国人で、100%韓国語の映画だ。その次に製作する映画は100%英語の作品だがこれも小規模だ」
――「オクジャ」の公開後、どういう瞬間が最も刺激になると期待しているか。
「『オクジャ』について何の情報もない田舎の50代の女性観客が時間つぶしに見た後で『おもしろかった。変な動物が出てきたがとてもかわいかった』と言いながら帰ってもらえたらと思う。その観客がオクジャを実在する動物だと思って『あれはどこの国の動物だ?』と質問してくれれば、それが最高の賛辞になると思う」
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