金委員長の視察 ICBM実戦配備へ技術力アピールか
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、8日ぶりとなる公開活動で大陸間弾道ミサイル(ICBM)の素材を開発する国防科学院化学材料研究所を視察し、ICBM級ミサイルの生産と実戦配備に対する意思を示した。21日から韓国で行われている韓米合同指揮所演習「乙支フリーダムガーディアン」(UFG)に対して、北朝鮮は例年と異なり威嚇を自制しているが、金委員長の行動で核ミサイルの開発と保有への意欲を見せた形だ。
金委員長が視察した研究所は、ミサイルの弾頭が大気圏内に再突入する際の衝撃と熱から弾頭を保護するのに必要な素材と、固体燃料ロケットの噴出口に使われる素材を開発・生産している。
金委員長は「(この研究所の)生産能力を拡張し、科学研究開発と生産が一体化した最先端研究基地としてリニューアルし、近代化しなければならない」とし、「固体ロケット発動機(エンジン)とロケット戦闘部尖頭(弾頭部)をどんどん生産しなければならない」と指示した。
北朝鮮は7月4日と同28日の2回、ICBM級「火星14」を発射し、ICBM開発に成功したと主張しているが、今後は安定的な生産と配備段階に移行する意思を表したものと受け止められる。
韓国・慶南大極東問題研究所の金東葉(キム・ドンヨプ)教授は「金正恩委員長の発言から、ICBM開発が技術的に完了し、実戦配備を念頭に置いているとみられる」とし、「兵器化に対する自信を見せ、量産体制に入るということだ」と述べた。
金委員長の今回の視察で目を引くのは、北朝鮮がICBM発射に成功したとの主張に国際社会が問題を提起したことに対し、間接的に反論している点だ。
金委員長は「数回の弾道ロケット発射実験を通じて大気圏再突入能力を立証したことは、ロケット工業の発展において要となる意義を持つ大変な成果だ」と述べた。
日本の朝日新聞は今月12日、韓米日3カ国の政府は先月28日に北朝鮮が発射した火星14の落下映像の分析を基に、大気圏再突入に失敗したとの見方を固めたと報じた。
北朝鮮は今回、弾頭に使用された素材などを公開することで再突入能力を示し、実戦配備が近づいていることをアピールしたとされる。
また金委員長は、この研究所で生産する固体燃料ロケットエンジンの噴出口に装着する素材についても満足感を表し、固体型ロケットの能力も合わせて示そうとしたとみられる。
現在、火星14は1段目の推進体が液体燃料型であることが分かっているが、液体型は燃料注入などの過程が必要で、すぐに発射が可能な固体型より発射の兆候が捉えられやすく、兵器としての威力が半減する。
韓国科学技術政策研究院の李春根(イ・チュングン)研究委員は「耐熱能力に優れた炭素素材を製作するのは技術的に難しい工程が多く、北がどれほどの能力を備えているかは未知数だ」とし、「今回の金委員長の視察は国際社会の疑問を一蹴し、技術的能力を保有していると見せようとしているのではないか」と述べた。
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