韓米FTA改定交渉に応じた韓国政府 連携の重要性など考慮か
【ソウル聯合ニュース】韓米自由貿易協定(FTA)を巡り、韓国政府が現行通り協定を維持するという従来の立場を変え改定交渉に向けた手続きを開始することにしたのは、米国の見直し要求を拒み切れなかったためとみられる。トランプ米大統領の韓米FTA「破棄」発言は単なるはったりではないと判断し、北朝鮮情勢の緊迫化で韓米の緊密な連携がいつにも増して重要になっていることも考慮した。
韓米は両国FTAの改定の是非を協議する共同委員会の2回目の会合を米ワシントンで4日(米東部時間)に開催した。韓国産業通商資源部は5日、「両国はFTAの互恵性の強化に向けた改定の必要性について認識を同じくした」と発表した。
韓米は8月22日に共同委員会の初会合を開いたが、米国側が貿易赤字の解消に向け改定交渉を求めたのに対し、韓国はこれに同意せず、先にFTAの経済的効果を共同で分析することを提案し、議論は平行線をたどった。
それから10日ほどして、トランプ氏が韓米FTAの破棄を検討するよう指示したと米メディアが報道。だが、その直後の9月3日に北朝鮮が6回目の核実験に踏み切り朝鮮半島の安全保障情勢が深刻化すると、破棄を巡る議論は沈静化した。トランプ氏は、北朝鮮の挑発や北東アジア情勢などを踏まえ韓米同盟に亀裂が入るような言動を控えるべきだとする外交・安保関係者らの指摘を受け、いったん「破棄カード」を引っ込めたとされる。
米国との交渉の陣頭指揮を執る金鉉宗(キム・ヒョンジョン)通商交渉本部長は、先の訪米でトランプ氏が破棄の意向を記した書簡まで準備していたことを確認したとし、破棄するという威嚇は「はったりではないようだ」と述べていた。
韓国政府は、朝鮮半島情勢の緊迫化で破棄の議論が一時的に下火になったとはいえ、情勢を盾に米国の見直し要求を拒み続けることは難しく、FTAを巡る確執で両国の連携が弱まることは好ましくないと考えたようだ。改定交渉を避けられないのであれば、むしろこれを機に韓国に不利な部分を改善しようという判断も働いたとみられる。
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