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文在寅政権が発足半年 朝鮮半島平和への道のり遠く

記事一覧 2017.11.10 12:00

【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足して10日で半年となった。「平和な朝鮮半島」を外交・安全保障政策のビジョンとして提示した船出だったが、この間少なくない試練に直面せざるを得なかった。

7月にドイツ・ベルリンで行った演説で「新朝鮮半島平和ビジョン」(ベルリン構想)を発表する文大統領(資料写真)=(聯合ニュース)

7月にドイツ・ベルリンで行った演説で「新朝鮮半島平和ビジョン」(ベルリン構想)を発表する文大統領(資料写真)=(聯合ニュース)

 北朝鮮は核・ミサイルの高度化のために相次いで挑発を強行し、これに対し米国は軍事オプションにまで言及し、朝鮮半島を巡る緊張は高まった。その上、米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備問題で韓中関係も冷え込むなど、文在寅政権は最悪の外交・安保環境で最初の6カ月を過ごしたといっても過言ではない。

 朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾以降、事実上ストップしていた首脳外交は、新政権の発足とともに急速に正常化したが、北朝鮮核問題の平和的解決によって朝鮮半島に平和をもたらすという新政権の構想には程遠い状況だ。

 しかし、米国との3回の首脳会談を通して北朝鮮を巡る強固な協力体制を構築し、韓中関係も雪解けを迎えたことで、北朝鮮核問題の解決に向け最小限の外交的準備が整ったとの評価が出ている。

「火星12」の発射の様子(資料写真)=(聯合ニュース)

「火星12」の発射の様子(資料写真)=(聯合ニュース)

◇挑発を繰り返す北朝鮮 米朝の応酬で高まる危機感

 新政権は発足から災難続きだった。北朝鮮は政権発足4日後の5月14日に新型中長距離弾道ミサイル「火星12」の発射実験を行った。圧力よりも対話を重視する文在寅政権の発足も意に介さず、核・ミサイルの高度化を進めると宣言したも同然だった。

 北朝鮮はそれから6カ月間、大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の「火星14」をはじめ、射程の異なる弾道ミサイル9発を新たに発射した。9月3日には6回目の核実験まで行った。

 休みなく襲う北朝鮮の挑発に、南北関係を回復して対話で北朝鮮核問題を解決しようという新政権の対北朝鮮政策「ベルリン構想」は始動すらできなかった。

 韓国政府は7月に北朝鮮に対し、南北軍事境界線(MDL)一帯での敵対行為中止のための軍事当局者会談と朝鮮戦争などで生き別れになった離散家族再会のための赤十字会談を提案したが、北朝鮮は現在まで黙殺している。

 南北関係に対する北朝鮮の徹底した無視の中で、韓国が南北関係を主導するという「朝鮮半島運転者論」も力を得られなかった。さらに、一部では朝鮮半島問題の議論から韓国が外されるいわゆる「コリア・パッシング」を憂慮する声もある。

金正恩氏(左)とトランプ大統領は激しい応酬を繰り返した(イメージ)=(聯合ニュース)

金正恩氏(左)とトランプ大統領は激しい応酬を繰り返した(イメージ)=(聯合ニュース)

 北朝鮮の繰り返される挑発に、トランプ米大統領は歯に衣着せぬ物言いで対抗し、朝鮮半島は一触即発の危機に包まれた。

 特にトランプ大統領が北朝鮮に対して「炎と怒り」に直面するだろうと警告し、北朝鮮が「グアム包囲射撃」について述べた8月初と、トランプ大統領が国連総会の演説で「北朝鮮の完全破壊」に言及し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が「過去最高の超強硬対応措置を検討する」と応じた9月末に緊張は最高潮に達した。

 米朝間の「言葉の戦争」がチキンゲームの様相を呈し、朝鮮半島は「朝鮮戦争以来最大の危機」との表現も大げさではない状況だった。

 韓国政府は北朝鮮の挑発に強い警告を与えながらも、文大統領が光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)の記念式典で「朝鮮半島での軍事行動は韓国の国民だけが決定できる」と強調するなど、米国の一方的な軍事行動の可能性をけん制しなければならなかった。

11月7日の韓米首脳会談の後に行われた共同記者会見で握手を交わす文大統領(右)とトランプ大統領=(聯合ニュース)

11月7日の韓米首脳会談の後に行われた共同記者会見で握手を交わす文大統領(右)とトランプ大統領=(聯合ニュース)

 ◇韓米盤石・韓中回復 北朝鮮との関係変化に期待も

 北朝鮮は9月15日に弾道ミサイルを発射してから50日以上これといった挑発を行っておらず、局面転換に対する期待も少しずつ高まっている。

 今月7日に来韓したトランプ大統領は韓米首脳会談の後の共同記者会見や、8日の韓国国会での演説で北朝鮮に対する軍事行動に言及しないなど、強硬な発言をおおむね自制した。国会の演説で北朝鮮の劣悪な人権状況を具体的に取り上げて金正恩氏を強く批判したが、北朝鮮に向かって過去に「炎と怒り」「完全破壊」などと言及した時よりは控えめだと評価されている。

 北朝鮮の挑発中断が続き、来年2月の平昌冬季五輪に北朝鮮選手団が参加すれば、現在の緊張状況もかなり緩和されるのではないかと韓国政府は期待している。

 もちろん、落ち着いていた北朝鮮が突然強い挑発に乗り出す可能性も残っている。金正恩を「暴君」「残酷な独裁者」などと呼んだトランプ大統領の国会演説を口実に行動に出る可能性もある。北朝鮮がICBM級のミサイルを発射すれば、雰囲気は一瞬で凍り付くこともあり得る。

 このように朝鮮半島情勢は北朝鮮の態度にかかっている状況だが、北朝鮮核問題のメインプレーヤーである米国や中国との関係が落ち着いている点は好材料だ。

 韓米は今回のトランプ大統領の訪韓で「北朝鮮核問題の平和的解決」の原則と「最大の圧力を加えて北朝鮮を対話の場に引き出す」というこれまでの戦略を再確認した。

 トランプ大統領は「コリア・パッシング」について「韓国は非常に重要な国だ」とした上で「韓国を(議論から)外すことはない」と断言した。文大統領は米国が神経を尖らせる可能性のある「バランス外交」について「米国と中国の間でバランス外交をしようというものではない」と明確に示した。

7月に行われた韓中首脳会談で握手する文大統領(左)と習近平中国国家主席(資料写真)=(聯合ニュース)

7月に行われた韓中首脳会談で握手する文大統領(左)と習近平中国国家主席(資料写真)=(聯合ニュース)

 THAAD問題で国交正常化以来最悪だった韓中関係も、先月31日に両国が全ての分野での交流・協力を正常な発展軌道に速やかに戻すことで合意し、次第に回復すると予想される。北朝鮮に対して今も強い影響力を持つ中国との関係が正常化すれば、北朝鮮核問題についてさらに緊密な協議が可能になるとみられる。

 韓日間でも旧日本軍の慰安婦問題など過去の歴史問題は解決されていないが、北朝鮮核問題への対応や首脳会談などはこれに影響を与えていない。

ynhrm@yna.co.kr

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