苦難乗り越え五輪2大会金メダル目指す ショートトラックの沈錫希
【平昌聯合ニュース】平昌冬季五輪の開幕が来月9日に迫り、スピードスケート・ショートトラック韓国女子のエース、沈錫希(シム・ソクヒ、21)がコーチから暴力を振るわれるという苦難を乗り越え五輪2大会連続の金メダルへ準備を整えている。
スケートのファンたちに18日、苦々しいニュースが舞い込んだ。ショートトラック女子代表の主将を務める沈が16日に代表チームのコーチから平手打ちされて国家代表選手村を離れ、この日に戻ったというものだ。
沈は2014年のソチ冬季五輪で金、銀、銅メダルを1個ずつ獲得しており、平昌大会でも金メダルを期待されている。トレーニングにどれだけ集中しても足りないこの時期にコーチからの暴力でチームを一時離脱するという憂き目に遭ったことに、ファンたちは怒りをあらわにした。
大韓氷上(スケート)競技連盟はほどなくしてこのコーチを永久除名処分とし、沈は動揺する気持ちを抑えて代表チームでトレーニングに打ち込んでいる。
沈はチェ・ミンジョンとともにショートトラック女子のツートップとしてメダルレースをけん引する看板選手だ。韓国選手団は平昌大会で8個の金メダル獲得を目指しており、うち半分以上をショートトラックの男女代表が手にすると期待されている。沈とチェが個人戦で金メダルを獲得し、リレーでチームを優勝に導けば4個以上の金メダル獲得も見込める。
2度目の五輪に挑む沈は、7歳の時に5歳年上の兄についてスケート場を訪れたことをきっかけにショートトラックを始め、本格的に選手生活を送るようになると急成長をみせた。
中学生だった2012年にオーストリアのインスブルックで開催された冬季ユース五輪で2冠(500メートル、1000メートル)を達成。同年にオーストラリアのメルボルンで行われたショートトラックの世界ジュニア選手権で女子総合優勝を果たし、注目を集めた。
シニアデビューした12~13年シーズンはワールドカップ(W杯)6戦で全て金メダルを獲得してセンセーションを巻き起こし、早くもスターの誕生を印象付けた。
高校生で臨んだ初の五輪、14年ソチ大会では1500メートル銀メダル、1000メートル銅メダルを獲得し、女子3000メートルリレーで優勝に貢献。17歳にして五輪金メダリストの栄光に輝いた。
175センチの長身からあふれるパワーとスピードが強み。体力もあり、アウトコースからの追い越しも沈の武器だ。
平昌五輪では、韓国の最大のライバルに挙げられる中国の荒っぽい「けん制」に特に注意する必要がありそうだ。昨年2月に北海道・札幌で開催された冬季アジア大会の女子500メートル決勝では、中国の選手に右ひざをつかまれるという反則に遭い、この選手と共に失格となった。沈はこのときのインタビューで「中国のけん制に十分備えていたが、その状況を避けられなかった。自分の至らなさを感じた」と述べ、二度と同じ目に遭わないと決意を固めた。
コーチから暴力を振るわれるという受難に遭ったが、24日に行われた平昌五輪の韓国選手団の結団式では明るい表情で仲間と笑い合い、ふざけ合うなど元気を取り戻した様子だった。ショートトラック代表チームのキム・ソンテ総監督は「沈錫希は主将として責任感が強く、自分のせいでチームに影響が出ることを望んでいない。今は目標を持ち、一生懸命取り組んでいるところだ」と伝えた。
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