情報機関からの10万ドルを対北工作資金に 李元大統領が供述
【ソウル聯合ニュース】100億ウォン(約10億円)以上の収賄疑惑が持たれている韓国の李明博(イ・ミョンバク)元大統領が、検察の取り調べに対し情報機関・国家情報院(国情院)から北朝鮮への工作資金として10万ドル(約1060万円)を受領したことを認め、この資金が青瓦台(大統領府)と国情院が共同で行った工作に使われたという趣旨の供述していたことが分かった。検察関係者が16日、明らかにした。
検察は李氏を14日に出頭させ取り調べた後、李氏が大統領だった2011年10月の訪米前に当時大統領第1付属室長を務めた金禧中(キム・ヒジュン)氏から10万ドルを受け取ったと認めたことを公にしていたが、具体的な使途については言及しなかったと伝えられていた。
李氏は、10万ドルは青瓦台と国情院が構成したタスクフォース(TF、作業部会)で行った北朝鮮関連事業に関する資金だという趣旨の供述をしたという。
また、李氏は当時の元世勲(ウォン・セフン)国情院長から「TFに対北工作資金を工面する」と報告を受けたことがあるが、詳しい内容は言えないとして、検察自らが内容を把握するよう求めたとされる。
一部では李政権当時の11年に韓国政府と北朝鮮が秘密接触していたと北朝鮮側が暴露したことと関連付け、李氏が言及した対北朝鮮工作がこの接触に関することではないかとの観測も出ている。
北朝鮮の朝鮮中央通信は11年6月、南北首脳会談の開催を推進するため同年5月に北京で南北が秘密接触したと報じた。
同通信は当時「金泰孝(キム・テヒョ)青瓦台対外戦略秘書官の指示に従いホン・チャンファ国情院局長がトランクから金の入った封筒を取り出すと、金秘書官がそれを受け取ってわれわれ(北朝鮮側)の手に握らせようとした」とし、「われわれがすぐにそれを打ち捨てると、金秘書官の顔が赤くなって落ち着きがなくなり、ホン局長がぎこちない動作で急いで封筒をしまった」と主張した。
李政権は当時秘密接触の事実を認めたが、北朝鮮側に金を渡したことはないと釈明した。
一方、検察は10万ドルの用途に関係なく処罰の対象になるとみている。国情院が安保のために使用すべき資金が、大統領に流れた事実自体が違法との判断だ。
検察関係者は「国情院の対北工作金は国情院が直接執行すべきで、李大統領が受け取る理由は全くない」と述べた。
ynhrm@yna.co.kr