終戦宣言迫る北朝鮮と慎重な米国 韓国政府の仲介外交に注目
【ソウル聯合ニュース】朝鮮戦争の休戦協定締結から7月27日で65年となるなか、年内に終戦を宣言するという南北首脳の目標が実現するかどうかに関心が集まっている。
終戦宣言は概念上、1953年から65年に及ぶ休戦体制に終止符を打つ平和協定の締結に先立って行う「政治的宣言」であり、非核化の面で意味付けするとすれば核廃棄完了前の過渡期における北朝鮮への安全保障措置と見なせる。
実際の交戦はなくても法的には戦争が終わっていないという正常でない休戦体制を終わらせる平和協定の発効には、北朝鮮の非核化が伴う必要がある。
終戦宣言を巡る韓国政府の考えは、朝鮮半島の非核化と平和協定の締結に至る道のりは遠く、険しいものになると予想されるため、その交渉の入り口で戦争を終わらせる政治的宣言をしようというものだ。終戦宣言によって非核化と朝鮮半島平和体制の構築に向けた交渉に弾みをつける狙いがある。
こうした構想は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権5年目の2007年に行われた第2回南北首脳会談の合意に初めて盛り込まれ、それから約11年を経て開かれた文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)による今年4月の南北首脳会談で再び登場した。
4月27日に南北首脳が合意した板門店宣言には「南と北は休戦協定締結から65年となる今年に終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換し、恒久的で堅固な平和体制の構築に向けた南北米の3者または南北米中の4者会談開催を積極的に推進していく」と記されている。
それから3カ月がたった今、「年内の終戦宣言」目標は非核化措置との優先順位を巡る朝米(米朝)の不協和音により岐路に立っている。北朝鮮は終戦宣言の推進を積極的に迫っている一方、米国は慎重な立場だ。現状での終戦宣言が北朝鮮に対する一方的な譲歩に映りかねないこと、北朝鮮に対する軍事的選択肢を放棄したという認識を広げてしまうリスクなどを意識しているとみられる。
一部では、休戦協定締結65年に当たる27日に合わせて北朝鮮が朝鮮戦争で死亡した米兵の遺骨55柱を返還すれば、終戦宣言への前向きなムードがつくられるとの期待もあるが、本質的には終戦宣言を非核化とどう結び付けるかが鍵になる見通しだ。
北朝鮮は最近、ミサイルエンジン実験場が位置する北西部・東倉里の「西海衛星発射場」で発射台のクレーンの一部を解体したとされる。ミサイルエンジン実験場の廃棄と引き換えに終戦宣言を引き出したい思惑とみられるが、米国がこれに同意するかどうかは未知数だ。
韓国の民間シンクタンク、峨山政策研究院の申範チョル(シン・ボムチョル)安保統一センター長は「朝米間の非核化交渉が決裂しない限り、年内の終戦宣言の可能性はある」とし、「朝米間で非核化に関する実務会談が開かれ、非核化対話が申告・検証の局面に進めば、米国も終戦宣言により前向きな姿勢をみせるだろう」と述べた。
こうしたなか、朝米の歩み寄りをサポートする韓国政府の仲介努力が再び求められている。今月に入り、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官や青瓦台(大統領府)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長(閣僚級)が相次いで訪米し、米国側と終戦宣言を巡り意見を交わした。8月上旬の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会議に合わせて南北米の外相会談が開かれることになれば、議論が急進展して意外な成果が出る可能性もある。
その場合、文在寅大統領が8月15日の光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)記念式典の演説で、より具体的な終戦宣言に関する目標を語ると予想される。状況によっては、9月の国連総会に合わせて朝鮮戦争の終結を宣言するという歴史的な演出もあるかもしれない。
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